1.はじめに
箱庭療法とは、より良く生きる自己実現の手助けになる方法です。
自分の意識していること、気づいていなかった世界、それらを含めて、
全体として、心理的な問題の解決の糸口になり、カタルシスを得る事があります。
砂の入った箱の中に、ミニチュア他を置いていくことによって、
制作者の世界(感情、考え、言葉にならないイメージなど)が形作られ、ドラマが繰り広げられます。
2.成立と発展
箱庭療法は、ローウェンフェルト(Lowenfeld, M, )が子供のための療法として創造した
『世界技法』 the world techniqueをもとに、20世紀に、
カルフ(Kalff, D,)が、ユング(Jung ,C,G )の分析心理学の考えを加味して、
子供から成人、と幅広い年齢層に有効な、
『箱庭療法(直訳は、砂遊び療法)』 sand-play therapy として成立させました。
日本へは、1965年、ユング派分析家の河合隼雄氏が『箱庭療法』として導入し、さらに発展しました。
河合隼雄氏は、スイスのカルフのもとで、箱庭を体験した時に、
「箱庭遊びの歴史があり、言葉なしで、
視覚的直感的に物事を把握する事に優れた日本人に、ぴったりの方法だ!」と感じたそうです。
2006年、茂木健一郎氏と河合隼雄氏は
「西洋人と東洋人では、どうも右脳と左脳のバランスに微妙な違いがあるようですね」と、対談しています。
日本での箱庭療法は、制作者と見守り手のセラピストとの関係性を重視し、
言葉で分析、解釈する前に、よく分からない感覚や心はそのままに、
そこで起きている流れに共に、居ること、を大事にしました。
それは、ひとことでは言い表せない心の多様性や、無意識の生き生きした命の流れを尊重し、
制作者の自己治癒力、自己受容、意外な可能性の発見、自己洞察、が生まれる道を、
自由にして、守るという態度に裏打ちされています。
3、まとめ
日本人に古来よりなじみの深い、箱庭を使った、この技法は、
今や高層ビルでの仕事や生活、コンピューター世界の発展とともに、便利ではあっても、
自然や身体感覚との触れあい、と切り離されつつある社会や、
人間にとり、本来の姿を思い起こし、心の安らぎを回復し、
深い癒しにも通じる、貴重な方法であると思います。
(日常で見る夢と共に)、箱庭療法が、古くて、新しい、
現代的な意義があるとされる所以でしょう。
箱庭は、遊び感覚も大事です。なんとなく、
ふと気になる感じのミニチュアやイメージから、始まります。
皆さんで、各々の息を吹き込んでくださる事を、願っています。